hakken.教室コラムVOL.116 高校入試!過去問の効果的使い方
高校入試対策として、過去問を取り組む時に、どのように取り組めば効果的なのでしょうか。
特に初めて入試を経験される生徒だと過去問の使い方に迷うと思います。
この記事では高校入試において、過去問の効果的な使い方を紹介したいと思います。
入試のスケジュール
高校入試は一般的に1月~3月に行われます。
受験直前になって慌てないためにいつ何をすればよいかを抑えておくことが大切です。
それぞれの地域によって異なりますが、おおよそ中学3年生のスケジュールは例年このようになっています。
スケジュール
1月中旬~2月上旬 私立高校入試
2月中旬 推薦入試
3月上旬 一般入試
早いところでは1月の中旬から私立の入試が始まります。
過去問に取り組み始める時期
学校のテスト日程にもよりますが、3期制の地域では2学期期末試験の後、2期制の地域では後期中間テストの後には遅くとも過去問に取り組みましょう。
過去問を取り組む前に、中学3年生で学習する範囲は終わらせ、中学3年間の内容で基本~標準問題は復習し終えていることが理想です。
ただ、最低でも1カ月は過去問を使った練習をしたいので、中学3年生で学習する範囲は終わっていなかったり、中学3年間の内容で基本~標準問題は復習し終えていない場合でも試験日の1カ月まえには過去問に取り組みましょう。
目標点を決める
まず過去問をやる前に受験校のそれぞれ合格基準を確認し、目標点を決めましょう。
どれだけ点数を取れば合格するかを知ることはとても重要です。
受験する高校にもよりますが、入試問題は通常の学校のテストとは点数の基準が違います。
中学校で上位の生徒は学校のテストで90点以上取っていると思います。
しかし、入試問題の合格点は私立では50~70点、公立では上位校でも80~90点である場合がほとんどです。
入試問題の特徴
大学入試ではありますが東京大学全体のここ10年の2次試験合格者の平均点は
60%前後で推移しており、医学部である理科三類でも70%前後で推移しています。
これは30%前後は解けなくてもいいと解釈することもできます。
入試問題は通常のテストとは違い高得点をとることが目的ではなく、合格点をクリアすることが目的です。
そのため、取り組むべき問題もあれば、場合によっては取り組む必要のない問題も存在します。
入試問題を取り組む前に、合格点を確認し、入試本番までに入試問題をどのように取り組むかの戦略、時間配分を決める必要があります。
私立と公立の合格点の違い
私立と公立で合格点の基準が異なるのは、私立高校は受験する学力層が狭いため、上位校になるほど基本~標準問題の出題が少なくなり、応用問題の出題が多くなります。
公立高校はすべての生徒が同じテストを受けるため,基本問題から応用問題まで幅広く出題されます。
配点も基本~標準問題が6~7割を占めている地域が多いです。
受験勉強=応用問題演習ではない
入試問題の特徴を踏まえ、勉強があまり得意でない生徒は基本~標準問題に絞って学習をします。
反対に上位校を目指す生徒は、基本~標準問題は全問正解を狙ったうえで、応用問題の練習を中心におこないます。
受験勉強は応用問題など難しい問題をたくさん解くことをイメージされる方も多いかもしれません。
しかし、実際はそうではなく基本~標準問題の徹底が受験勉強でもっとも大切です。
いくら難しい問題が解けても基本~標準問題で点を落としては合格は遠ざかります。
応用問題の1点も基本問題の1点も同じ価値です。
過去問をやってみて採点をしたときには自分がどのレベルの問題で落としているかを必ず分析しましょう。
基本~標準問題での失点が多いのか、応用問題での失点が多いのかで勉強の仕方は変わってきます。
基本、標準、応用問題の特性
問題の特性上、基本~標準問題は問題の出題パターンがあまりありません。
問題を作るときに基本~標準問題は、数学なら数字を変えるぐらいしか問題の変えようがないため同じような問題が出題されやすくなります。
反対に応用問題はいくらでも問題の出題パターンを変えることができるため、同じ問題が出題される割合は少なくなります。
効率よく点数を取るための方法の秘訣は、まずは基本~標準問題を完璧にしてから応用問題に取り組むことです。
何年分の過去問をやるのか
受験する高校の数にもよりますが、最低でも1校あたり3年間分は学習し、第一志望の高校の過去問は5年分以上は取り組みましょう。
最低3年分をする理由は過去問を解く指針を決定するために最低3回は必要だからです。
また問題の傾向をつかむためにも3回は学習が必要です。
1回目
試験時間に余裕がある教科、ない教科を選別し、余裕がない教科は出題傾向と時間を考慮し取り組むべき大問の優先順位を決め時間配分を決める。
2回目
時間配分通りに取り組み、実際に想定通りに取り組めるか検証し、再度過去問の時間配分を調整する。
3回目
時間配分通りに取り組み、最後の時間配分の調整をする。
第一志望の場合はさらに回数を重ね、時間配分の精度を上げていきます。
時間配分の立て方
時間内にすべての問題を解けることが理想ですが、そうでない場合がほとんどです。
時間配分は生徒の演習スピード、苦手、得意範囲によっても左右されるため個別に戦略を立てる必要があります。
時間配分の基準になるのはもちろん如何に点数が取れるかです。
そのため、過去問を解いたときにどの大問が点を取れる可能性が高いかを見つけ、点が取れる大問から取り組みます。
ただし、点が取れる問題でも、時間がかかる問題は優先順位が低いです。
時間当たりの得点率で考えれば、時間がかかる問題は後回しにして時間がある場合に解くべきです。
また、問題を見て、すぐに解き方が浮かばない問題も後回しにします。
後半に得点しやすい問題が多い場合もあるので、まずは最後まで解いてから、残り時間を考え、得点しやすい問題を順に解いていきましょう。
具体的な過去問の演習方法
過去問は必ず時間を計って解いていきましょう。
時間内に解ききれなかった場合は、時間を延長して取り組んで下さい。
その時に、延長した時間も計り、延長して解いた問題には印をつけて下さい。
その後、過去問の採点をし、時間内で取り組んだ点数と、延長して解けた問題も含めた点数を出してください。
延長した時間、時間内の点数、延長した時の点数が時間配分を決める重要な情報になります。
採点をしたあとは、解説を確認し、問題を再度解き直してできるようになるまで練習をして下さい。
過去問の後は必ず復習
基本的に過去問を解いたあとすぐに過去問を解くことはNGです。
例外は過去問を解いて解けない問題がほとんどない場合のみです。
過去問を解いた後は必ず、復習用のテキストを使って間違えた範囲、理解が不十分の範囲を練習しましょう。
復習がある程度終われば、次の過去問を解いてみてください。
過去問演習と復習のスケジュール
おすすめの学習の仕方は1週間単位で過去問演習と復習を合わせて学習することです。
土:過去問演習と分析
↓
日:過去問の復習
↓
平日:間違えた範囲、理解が不十分の範囲の復習
のようにするとスケジュールも立てやすくなります。
このスケジュールに沿って行えば、3週間あれば3回過去問演習ができるため、多少の余裕を持って、最低でも試験日の1か月前には過去問演習に取り掛かりましょう。
過去問をやるときの注意点
過去問をやるときに注意することは過去問ばかりをするのではなく、過去問をした後に必ず復習をすることです。
過去問ばかりやっても、点数が上がっていきません。
復習をすることで、過去問で解ける問題が多くなり点数も上がっていきます。
点数が上がらない場合は、復習が不足しているか、復習の仕方が間違っています。
その場合は復習の期間を長くするか、復習の仕方を見直してから過去問に取り組んで下さい。
最後に
過去問演習の目的は3つあります。
①当日入試問題を解く時の戦略、時間配分を決める
②自分の苦手範囲の洗い出し
③過去問の出題傾向に慣れる
過去問は無限にはありません。
ひとつひとつの過去問に意図を持って取り組んでいくことをおすすめします。